大切な人を失った悲しみとどう向き合うか
祖父が亡くなったという知らせは、真夜中の電話で突然もたらされました。覚悟がなかったわけではありません。しかし、現実にその時が来ると、頭が真っ白になり、ただ涙が溢れるだけでした。病院に駆けつけ、静かに横たわる祖父の顔を見た時、もうあの優しい笑顔は見られないのだという事実が、重く心にのしかかってきました。そこからの数日間は、まるで夢の中にいるようでした。通夜や葬儀の準備に追われ、親戚への連絡や弔問客への対応に忙殺されるうち、悲しんでいる暇さえありませんでした。むしろ、その忙しさが私を支えてくれていたのかもしれません。しかし、全ての儀式が終わり、日常が戻ってきた時、本当の悲しみが津波のように押し寄せてきたのです。ふとした瞬間に祖父との思い出が蘇り、胸が締め付けられるような寂しさに襲われました。無理に忘れようとしたり、元気を出そうとすればするほど、心の穴は大きくなるばかりでした。そんな時、母が「悲しい時は、気が済むまで悲しんでいいんだよ」と言ってくれました。その言葉に救われ、私は泣きたい時に泣き、思い出に浸りたい時には存分に浸ることにしました。悲しみを無理に乗り越える必要はないのです。大切な人を失った喪失感は、時間と共に形を変えながらも、きっと生涯心に在り続けるものでしょう。その悲しみと共に生きていくこと。それが、故人を想い続けるということなのかもしれないと、今では少しずつ思えるようになりました。