社員の家族や、取引先の方が亡くなった際、会社として、あるいは個人として弔意を示したいと考えた時、「供花」を贈るべきか、それとも「盛籠」を贈るべきか、迷うことがあるかもしれません。どちらも、故人を悼むための代表的なお供え物ですが、その性質や、与える印象には、少し違いがあります。どちらを選ぶべきかを判断するための、いくつかのポイントを解説します。まず、最も大きな違いは、その「役割」と「意味合い」です。供花は、その名の通り「花」を供えるもので、祭壇を清浄な香りと美しさで飾り、故人の魂を慰める、という、主に精神的、宗教的な意味合いが強いお供え物です。一方、盛籠は、果物や缶詰といった「食べ物」を供えるもので、故人があの世で食に困らないように、という願いや、儀式後に皆で分け合っていただく、という、より現実的、実質的な意味合いを持っています。一般的に、よりフォーマルで、儀礼的な弔意を示したい場合には、「供花」が選ばれることが多いです。特に、法人として、会社名義で贈る場合は、供花の方が、より格式高い印象を与えるとされています。また、キリスト教式の葬儀では、盛籠を供える習慣は基本的にないため、供花(洋花のフラワーアレンジメント)を贈るのがマナーです。では、どのような場合に「盛籠」が適しているのでしょうか。盛籠は、供花に比べて、より温かみがあり、親密な印象を与える傾向があります。そのため、故人やご遺族と、特に親しい間柄であった場合や、個人名義、あるいは社員有志一同といった、よりパーソナルな立場で贈る際に、適していると言えるでしょう。また、ご遺族のその後の生活を支えたい、という、実質的な支援の気持ちを表現したい場合にも、盛籠はふさわしい選択です。葬儀の後、ご遺族は慌ただしさの中で、食事の準備もままならないことがあります。そんな時、分け合った果物や缶詰が、日々の食卓を少しでも助けることになるからです。最終的な判断は、故人やご遺族との関係性の深さや、相手の宗教、そしてご自身が伝えたい気持ちのニュアンスによって変わってきます。迷った場合は、葬儀を執り行っている葬儀社に直接相談し、「〇〇家の葬儀なのですが、供花と盛籠、どちらがよろしいでしょうか」と、アドバイスを求めるのが、最も確実で、失礼のない方法です。