身内に不幸があった際、多くの会社では忌引休暇という制度が設けられており、従業員は葬儀への参列や諸手続きのために休暇を取得することができます。この忌引休暇を申請し、事後に報告する際に、会社から葬儀があったことを証明する書類の提出を求められることが一般的です。これは、休暇制度の正当な利用を確認するための手続きであり、社会人としての当然の義務と言えるでしょう。では、具体的にどのような書類を準備すれば良いのでしょうか。最も広く利用されているのが「会葬礼状」です。これは、通夜や告別式の参列者へのお礼状で、通常、葬儀の日時、場所、故人の氏名、そして喪主の氏名が明記されています。この情報により、従業員(またはその近親者)が喪主として、あるいは親族として葬儀を執り行った事実が確認できるため、多くの企業で正式な証明書類として認められています。もし会葬礼状が手元にない場合や、家族葬などで作成しなかった場合には、他の書類で代用することが可能です。例えば、葬儀社が発行する「葬儀施行証明書」という書類があります。これは、その名の通り葬儀社が葬儀を執り行ったことを証明するもので、会葬礼状と同様の情報が記載されています。また、「葬儀費用の請求書や領収書」も有効な証明書となり得ます。宛名が申請者本人(喪主)になっており、葬儀の日程や場所が確認できれば、これも葬儀の事実を客観的に示す証拠として受け入れられるでしょう。さらに、役所に死亡届を提出した際に交付される「火葬許可証(火葬後に日付が記載されたもの)」のコピーを提出するケースもあります。これは公的機関が発行する書類であるため、証明力は非常に高いと言えます。どの書類が必要になるかは、会社の就業規則や規定によって異なります。そのため、まずは所属する部署の上司や人事、総務担当者に確認するのが最も確実です。急なことで動揺している中での手続きは大変ですが、社会人としての手続きを滞りなく進めることも、故人を送る務めの一つと心得ておきましょう。