東京や大阪といった大都市圏の葬儀銘柄が注目されがちですが、実は地方に拠点を置き、特定エリアで圧倒的なシェアを誇る地域密着型の葬儀銘柄にこそ、投資の妙味があると考えています。地方都市では、人口減少が進んでいるものの、高齢化率は都市部よりも高く、葬儀需要のピークはまだ先にあります。そして何より、地方における葬儀社というのは、単なるサービス業者を超えて、地域コミュニティのインフラとしての機能を果たしていることが多いのです。長年にわたって地元の自治会や寺院と深い関係を築き、「〇〇さんの家の葬儀ならあそこの会館で」というブランド認知が確立されているため、新規参入業者が入り込む余地が少なく、安定した収益基盤を持っています。また、地方では都市部に比べて、依然として伝統的な葬儀の形式を重んじる傾向があり、参列者の数も多く、葬儀単価が比較的高止まりしているエリアも存在します。こうした地域密着型の銘柄は、特定の県や地域に特化して会館を展開するドミナント戦略をとっており、配送やスタッフの配置を効率化することで高い利益率を実現しています。例えば、北海道や九州、あるいは北関東など、特定のエリアで強固な地盤を持つ上場企業が存在し、彼らは地元のニーズに合わせたきめ細やかなサービスを提供することで顧客の信頼を勝ち得ています。さらに、地方の葬儀社は互助会システムを採用していることも多く、会員からの積立金を原資として安定経営を行っている点も強みです。投資家としては、その企業がどの地域に地盤を持ち、その地域の人口動態や競合状況がどうなっているかを分析することが重要です。全国展開を目指す企業も魅力的ですが、地域一番店としての地位を盤石にし、その利益を株主に還元してくれる地方銘柄は、低PBR(株価純資産倍率)で放置されていることも多く、バリュー株投資の対象としても非常に面白い存在です。派手な成長ストーリーこそ描きにくいものの、地元での信頼という目に見えない資産を持つ企業の強さは、不況時や競争激化時にこそ真価を発揮するものであり、堅実なリターンを狙う投資家にとってはポートフォリオに組み入れる価値が十分にあると言えるでしょう。