株式投資を始めて数年が経ちますが、私が葬儀関連銘柄に興味を持ったきっかけは皮肉にも実父の葬儀でした。それまではIT企業や製造業の銘柄ばかりを追いかけていた私にとって、葬儀業界は地味で成長性が見えにくい分野だと思い込んでいたのですが、実際に喪主として葬儀社の方々と接する中で、そのビジネスとしての堅実さと将来性に気づかされたのです。父の葬儀を担当してくれたのは東証に上場している大手葬儀社の子会社でしたが、スタッフの対応の丁寧さや料金体系の明瞭さ、そして何より悲しみの中にいる遺族に寄り添う姿勢に感銘を受け、この会社なら今後も多くの人に選ばれ続けるだろうという確信めいたものを感じました。葬儀が終わって落ち着いた頃、私はその親会社の財務諸表や有価証券報告書を読み込み、業界全体の動向を調べ始めましたが、そこで分かったのは、葬儀ビジネスが極めてキャッシュフローの安定した業態であるということでした。葬儀費用は基本的に現金や即時の振り込みで支払われることが多く、売掛金の回収リスクが低い上に、在庫を持つ必要がほとんどないため、経営効率が良いのです。私はいくつかの候補の中から、地域密着型でドミナント展開を進めている銘柄と、ネット集客に強みを持つ仲介系銘柄の二つに分散して投資することに決めました。実際に株主になってみると、株価の動きは派手さこそありませんが、市場全体が暴落するような局面でも底堅い動きを見せることが多く、ポートフォリオの安定剤として機能してくれています。また、株主優待としてお米券やカタログギフトが送られてくるのも楽しみの一つで、毎年届く優待品を見るたびに、父の葬儀を通じてこの銘柄に出会えたことへの感謝の気持ちが蘇ります。もちろん、コロナ禍では参列者の減少によって一時的に業績が落ち込むこともありましたが、その後の回復過程で単価アップに向けた施策が奏功しているのを見て、経営陣の手腕を信頼して保有を続けてよかったと感じています。葬儀という人生の終幕に関わるビジネスは、決してなくなることがない究極のサービス業であり、そこに投資することは、社会に必要なインフラを支えるという意味でも意義深いものだと、今では胸を張って言えるようになりました。