日本は世界でも類を見ないスピードで超高齢化社会へと突入しており、それに伴い年間死亡者数が増加の一途をたどる多死社会が到来しています。株式市場において葬儀関連銘柄が注目される理由はまさにこの人口動態に基づく確実な需要増にあり、景気の変動を受けにくいディフェンシブ銘柄としての側面も強いため、安定志向の投資家から熱い視線が注がれているのです。葬儀業界には大きく分けて、実際に葬儀を施行する専門業者や互助会系の企業と、インターネットを通じて葬儀社を紹介する仲介プラットフォーム系、さらには棺や祭壇などの仏具を製造販売する周辺産業の企業が存在し、それぞれが異なるビジネスモデルで収益を上げています。かつては地域密着型の中小零細企業が乱立していた業界ですが、近年では上場企業によるM&Aが活発化しており、規模の拡大による効率化やドミナント戦略によってシェアを伸ばす大手銘柄が存在感を増しています。しかしながら、単純に死亡者数が増えるからといって全ての葬儀銘柄の株価が右肩上がりになるわけではなく、そこには葬儀単価の下落という深刻な課題が横たわっています。家族葬や直葬といった小規模で簡素な葬儀スタイルが定着しつつある中で、一件当たりの売上高は減少傾向にあり、件数を稼ぐことで利益を確保しなければならない薄利多売の構造へとシフトせざるを得ない企業も少なくありません。投資家として葬儀銘柄を選定する際には、単に施行件数の増加率を見るだけでなく、葬儀単価の維持や向上に向けた高付加価値サービスの提供ができているか、あるいはDXを活用した業務効率化によって利益率を改善できているかという質の部分を見極めることが重要です。また、相続相談や仏壇販売、墓石やお墓の管理といったアフターサービスまでを一貫して手掛けることで、顧客単価の最大化を図るライフエンディング・プラットフォームとしての機能を持つ銘柄も有望視されています。さらに、ESG投資の観点からは、環境に配慮した葬儀や社員の働き方改革に積極的に取り組む企業の評価が高まっており、社会的なインフラとしての役割を担う葬儀社の持続可能性も株価を左右する要素となりつつあります。結局のところ、葬儀銘柄への投資は日本の社会課題そのものへの投資であり、変化する価値観に対応しながら成長を続ける企業を見つけ出すことが成功への鍵となるのです。
高齢化社会で注目を集める葬儀関連銘柄の成長性と課題