葬儀関連銘柄はディフェンシブで安定していると言われますが、投資である以上リスクはゼロではなく、特有の落とし穴が存在することを知っておかなければなりません。初心者がまず警戒すべきリスクは、葬儀の小規模化に伴う単価の下落圧力が想定以上に強いことです。かつては数百万円をかけるのが当たり前だった一般葬が減少し、数十万円で済む家族葬や、さらに安価な直葬が増加している現状は、葬儀社にとって売上の減少を意味します。企業側も件数を増やすことでカバーしようとしていますが、競争が激化すれば価格競争に巻き込まれ、利益率が低下する恐れがあります。次に注意すべきは、人材不足の問題であり、葬儀の施行には専門的な知識や接遇スキルを持ったスタッフが不可欠ですが、少子化による労働力不足の中で優秀な人材を確保・育成するのは容易ではありません。人件費の高騰はそのまま利益を圧迫する要因となり、サービスの質が低下すれば顧客離れを引き起こすという悪循環に陥る可能性もあります。また、災害やパンデミックといった外部環境の変化もリスク要因となり得ます。記憶に新しい新型コロナウイルスの流行時には、感染拡大防止のために参列者が制限され、飲食の提供がなくなるなどして、葬儀社の売上、特に利益率の高い飲食接待費の売上が大きく落ち込みました。今後も新たな感染症や予期せぬ事態が発生した際に、人が集まること自体が制限されれば、葬儀業界は再び逆風にさらされることになります。さらに、レピュテーションリスクも見逃せない要素であり、葬儀という繊細な儀式を扱うため、不適切な対応や過剰な営業活動などがSNSなどで拡散されれば、企業の信頼は瞬く間に失墜し、ブランドイメージの毀損が業績に直撃します。銘柄を選ぶ際には、これらのリスクに対してどのような対策を講じているか、例えば単価下落に対しては高付加価値なエンバーミングサービスや生前整理などの周辺事業で補っているか、人材不足に対してはIT化や給与水準の向上で対応しているかなどを、決算資料や中期経営計画から読み取ることが大切です。安定成長が見込める業界だからこそ、死角となるリスクを冷静に分析し、最悪のシナリオも想定した上で投資判断を下す慎重さが求められます。
投資初心者が葬儀銘柄のリスクを見極めるポイント