私が運用するポートフォリオの中で、葬儀セクターは決して派手な主役ではありませんが、守備の要として欠かせない存在感を放っています。多くの投資家はAIや半導体といったハイテク銘柄に目を奪われがちですが、長期的な資産形成において重要なのは、ボラティリティ(価格変動)を抑えつつ着実にリターンを積み上げることです。その点において、日本の葬儀関連銘柄は世界的に見てもユニークで魅力的な投資対象と言えます。なぜなら、日本の死亡者数は今後数十年間にわたって増加し続けることが人口統計上確定しており、これほど需要予測が容易な業界は他に存在しないからです。景気が良かろうが悪かろうが、人が亡くなるという事実は変わらず、葬儀への需要が消滅することはありません。私が注目しているのは、単に葬儀を行うだけの企業ではなく、終活全般をプロデュースできる総合力を持った企業です。生前の相談から葬儀、お墓、仏壇、そして相続手続きまでをワンストップで提供できる企業は、顧客一人当たりから得られる生涯価値(LTV)を最大化することができ、単なる価格競争から脱却できる強みを持っています。また、地方の小規模な互助会や葬儀社の中には、財務内容は優良であるにもかかわらず、後継者難で事業承継に悩んでいるところが多く、これらをM&Aで取り込んでいくプラットフォーマーとしての役割を果たす上場企業には、大きなアップサイド(上昇余地)があります。もちろん、葬儀の簡素化という逆風はありますが、それは逆に言えば、効率的なオペレーションを確立した企業が生き残り、非効率な企業が淘汰される淘汰圧として機能し、勝ち組企業のシェア拡大を後押しすることになります。外国人投資家からの問い合わせも増えており、彼らは「課題先進国」である日本がどのように高齢化社会のビジネスモデルを構築するかに関心を寄せています。短期的には株価が動かない時期が続くこともありますが、配当を受け取りながらじっくりと待つことができる投資家にとって、葬儀セクターはポートフォリオの安定性と将来の成長期待を両立させるための賢い選択肢となるでしょう。私は今後も、現場のオペレーション力と経営戦略の双方に優れたトップ企業への投資を継続していく方針です。